私は今日も学校へ行く。
 人から何を言われようと、どれだけ嫌いだろうと、今日も学校へ行く。
 安心する場所なんてない。それでも私は学校へ行く。

 ある日、私は学校の非常階段で泣いている人を見た。
 次の日にはいなくなっていた。
 でも、そのまた次の日には同じように、泣いていた。
 私は思い切って声をかけた。
 「どうしたの?」
 「なんか苦しくて。」
 「大丈夫そう?」
 「うん。」
 冬の冷たい風が頬をさっと通り過ぎる。
 「風邪ひくよ。クラスに戻ろう。」
 彼の手をそっと握る。
 「いやだ、クラスが怖いの。」
 彼は蚊の鳴く声でそっと呟いた。
 「ごめん、なんか言うつもりじゃないから...私も同じ。クラスが怖いの。よく女子のいじめは陰湿っていうけど、ほんとそう。陰湿の他、何でもないよ。」
 私も同じ、その言葉を出すまで少し悩んだ。
 「僕はいじめられて、居場所もなくなって、なんだか寂しい。もういっかい人肌を感じたい。」
 風がふっと吹き止んだ。
 「ありがとう。伝わったよ。」
 そっと彼の脇下から胸にかけて優しく包む。
 「ほんと、我慢してきたんだね。」
 寒い風が二人を包んだ。
 「...ありがとう。なんか変な感じになってごめん。」
 「全然いいよ。私も人肌感じたかった。」
 「なんか友達になったみたい。」
 「いいよ。友達で。」
 くすっと笑うその笑顔には、悲しさが消えていた。
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